心理学・科学

【やりきる為の心理学】意志の力に頼らずに行動力を上げて『目標達成する』

みなさんは「やりきった!」と思える感覚を今までの人生において、どれ程度もっていますか?

実際、日々において長期的なもの、短期的なもの、組織的なもの、個人的なもの含め様々な "目標" を立てると思います。

でも、途中で頓挫したり、嫌になり、結果 "未達" で終わっている・止まっている事も多くないですか?

実は "目標の達成率" は目標の立て方や様々な方法で上げることができる。

だが、学校ではそんな事は教えてくれない、しかしそう言うテクニックを知らないと苦労する事が多い。

本日は目標達成の為の科学、心理学を用いてご紹介です。

 

 

目標設定の難易度

目標を設定する時に、「その目標は高く設定した方がいいのか? 低く設定した方がいいのか?」あるいは、「難易度は簡単な方がいいのか? 難しい方がいいのか?」

と言う問題がまずある。

前提として習慣化を作りたい場合の目標設定なのであれば簡単な事から設定すればいい。

だが、今回は自分のポテンシャルを、もっと上げようと言う時の話をしたいと思う。

 

 

まず、僕も含め、多くの人が陥りがちな目標設定が "目標を曖昧に立ててしまう" こと。

例えば、「1日1回は運動しよう」「運動の種類は走っても、歩くでも何でもいい」の様な感じだ。

せっかく目標を掲げたのはいいが、曖昧な目標は逆に人間のポテンシャルを下げてしまう。

では、人間のポテンシャルを上げるにはどうすれば良いのか?

答えは "具体的で難易度が高い" 方が人間のポテンシャルが上がると言うことが研究において分かっている。

 

こう言うと、「難易度が高くすると、やる気が無くなってしまったりして、かえって能力が落ちるんじゃないか?」と言う人がいるが、それは "難易度が高くて具体的で無い場合" に起きる。

具体的でなければ、何をすればいいか分からない

何をすればいいか分からなくて、凄く難しそうなものはやる気がしないのだ。

つまり、"難易度は高いのだけども、何をやるかが明確なもの" この二つの条件が合わさった時に、人間の能力が最大化されるのが分かっている。

例えば、運動なのであれば、「スクワットを毎日やる」ではなく「スクワットを毎日50回、午前中にやる」と言う様に、なるべく具体的に決めてしまう。

 

そして、この難易度の設定の高さ・難しさは、達成できるかできないかのぎりぎり位、少し頑張ればできるかな位の難易度が設定には向いている。

もし、難易度が高い目標を設定して達成できないのであれば、理由は簡単で "あやふや" だからだ。

よく、「いやぁ、それは難しすぎて、出来るか"分からないよ"」などと言う言葉を聞くことがあるが、"分からないよ" が付いている。

つまり、目標達成の具体性がないからなのだ。

 

具体化すると、わかり易くなる最たる例として、

何か新しい事にチャレンジすることを渋る人に、「とりあえず、やってみなよ!」言う事があるが、これは究極の具体化である。

何故なら、やったことが無いことをやるときは、経験がないので説明されてもよく分からない。

とりあえずやってみて、それから説明を聞く事が一番わかり易い。

また、わからない事のポイントも自分の中で具体化され、何が分かっていないかが自分の中で理解できる。

これが、具体化すると言うである。

ああだこうだ考えて、いつになってもスタート出来ない時に、とりあえず進めてみると具体化されて、どんどん達成できるようになると言うのは、正にこの事だ。

 

目標達成に関係する人間の思考

What思考とWhy思考

前章で“具体的”にと言う話をしたが、何か行動を起こすと言う時に「何の為にやるのか?」「何からやろうか?」などと必ず考えると思う。

この思考法は基本的には2つしかない。「What思考」と「Why思考」。

「What思考="何"の思考」

何をすればいいのか?今、何をしているのか? 次に何をするのか?
つまり動作そのものを考える思考。

What思考は思考がシンプルになり、動作一つ一つに注目する事ができるのでstep by stepになり、難しい事をこなす事が出来る様になる。

また、人間は何から手をつければ良いのか分からない状態になると、簡単に先延ばしをするのだが、What思考をすれば、行動が明確になり、先延ばしが減る。

 

つまり、難しい事や新しい事を始める場合はWhat思考」

何をするのか? 何から始めればいいのか?を考えると行動がし易くなる。

逆にやる気が無くなった時や、モチベーションを上げたい時は「Why思考」。

なぜするのか?と言う事を考えると進めて行く力となる。

 

人間は「What思考」と「Why思考」を普段どの様に使っているのか?

これはどれ位、先の未来を見るかによって変わってくる。

そして答えを先に言えば、遠い未来を考える時は「Why思考」になっていて、近い未来のことを考えると「What思考」になる。

遠い未来のことを考えると意義や大きな夢や理想を考える。つまりWhyの思考。

近い未来のことを考えると現実主義や現実の障害やタスクなど現実的なことを考える。つまりWhatの思考。

 

WhyとWhatのトレードオフ

人間が目の前のチャンスを逃す事があるが、その理由が “WhyとWhatのトレードオフ” にある。

どう言うことかと言えば、目の前にチャンスが急に転がってきたとする。

どうみても自分が10年後になっていたいと思う様なことに、繋がっていそうなチャンスが目の前に現れた。

普通に考えれば絶対に掴むべきことだ。

だが、実際に目の前にそんなチャンスが転がってくると人間はそれを掴むができない。

なぜかと言えば、What思考で考えてしまう様になるから。

行動しなくてはいけない事が、目の前に近づいてくると、現実的な問題や障害が見えてきて、怖くなるのだ。

それが、もし10年後に行動を取らなくてはいけない様なものであれば、それは全然掴むことが出来る。

 

つまり、遠い未来の理想を掲げ、Why思考でせっかく良いチャンスを見つけたのに、実際に現実に迫ってくると、人間はWhat思考にしかなれないので、理想を追うことが出来なくなってしまう。

遠くにある理想は理想の形なのだが、それがそのまま近くに来ると急に現実味を帯びてきて、現実的な問題や恐怖感に変わるのだ。

 

具体的に例を示すと、

自分のWhyとして、10年後に海外を回って悠々自適なな生活がしたいとする。

実際に10年後にある程度のお金も持っていて、その生活が出来るようになった。

だが実際には、掲げた目標が実現出来るチャンスが目の前に来たにも関わらず、「いやいや、現実的に考えてまだ仕事もあるし。。。」などと言い始める。

これが、“WhyとWhatのトレードオフ” である。

 

では、どうすれば良いのか?

答はWhyで理想は考えるのだが、その理想を最初からWhatで分割しておく。

つまり、

10年後に海外を回って悠々自適なな生活をすると決めたとする。(Why思考)

では具体的に10年後にその生活をする為には、何をすれば良いのか?をWhatで考える。

5年以内に自分が日本に居なくても、ある程度キャッシュが入って来るビジネスをする。(What思考)

そのキャッシュは自分が海外に行ってリゾートを回ったとして、1日10万円、1ヶ月300万、年間で約4000万円の収入があれば大丈夫なのではないかと概算する。(What思考)

そして年間4000万円の収入を得られるビジネスを、今後5年以内に組み立てるにはどうすれば良いか?(What思考)と言う様に、Whyで掲げた自分の理想をWhatで分割して考えて行く。

これを先にしておけば、目の前にチャンスが転がってきた時に恐怖がなくなり、チャンスを掴めるのである。

 

この思考はエッティンゲンの長短比較で解明されている。

まず手に入れるもの(ゴール)を考え、そのゴールに到達するまでの色々な障害を一つ一つ乗り越えるストーリーで考える。

大事な事は常に手に入れるもの(ゴール)を第1に考えておくこと。もし障害だけにフォーカスしてしまうと、行動できなくなる。

 

証明型と取得型

証明型:自分の能力を人に示したいタイプ

能力は高いのだが、上手く行かないと諦めも早くなる。(簡単なこと、得意なことに対して有効な思考)

能力があることや失敗しづらいこと、短期決戦で終わらしたいことに向いている。

習得型:計画的で課程を楽しみ、不安に負けないタイプ

計画的に課程をたのしみコツコツ前に進んで行くので不安にも強いし、最終的に大きな能力が手に入る。

コツコツ進めるのが必要な事や、未知の分野で粘り強さが必要な事に向いている。

 

人間はこの2つのタイプに完全に別れると言うのではなく、人間はこの2つのタイプを併せ持っているので、「今はこっちのタイプになっているな」と言うことを理解し、自分の中で使いこなすことが大切。

 

例えば、1年の目標を決め、そこに進んで行くのであれば、取得型の方が良いと言う事になる。

目的は改善を繰り返し、能力を示すことではなく、“得ること”だからだ。

 

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獲得型と防御型

基本的には人間は、何かに手に入れたいと思うタイプと、損をしたくないと思うタイプの2パターンがある。

獲得型:手に入れたい思考

楽観的、リスクをとってチャンスを掴みに行く、スピード重視。

防御型:失いたくない思考

悲観的、危険を回避する事が動機、ミスを嫌うためスピードはないが正確。

 

勘違いしてはいけないのが、防御型を見るとダメな人の様に見えなくも無いが、そうではない。

防御型だからこそ、準備やリスク管理ができるし、何か危険が迫った時に強烈な能力を発揮する事ができるし、石橋を叩いて渡るような正確さがある。

 

大事な事はここまでに紹介した思考タイプを、状況に応じて使い分ける事である。

例えば、やる気がでない=Why思考(なぜそれをするのか、なぜそれをするといいのかを認識する)+損失回避の防御型(やらなかった時に失うものは何なのか)で思考すると行動へとつながる。

 

では、ここで皆さんに質問です。

「新しい事に挑戦するときには、どの思考の組み合わせで考えれば良いのか?」

答は。。。

『What思考+習得型』となる。

新しい事をする時は不慣れで恐怖感があるので、まずはWhat思考で最初は何をするのかを考えコツコツ進め、さらに、新しい事をする時には最初は成果が出ないことが多いので、習得型の思考で粘り強く頑張る。

つまり、この思考を組み合わせると結果、“焦らなく”なる。

まず『Whatで最初の一歩を踏み出し、習得型でいたずらに一足飛びで結果を求め怪我をすること無く、粘り強く諦めないで続けて、最後に大きな成果を手に入れる』と言う思考で自分に言い聞かせると、“目標達成に向けて前に進める”様になる。

 

目標達成の確率を上げる為には?

 

 

あたりまえだが、目標設定が大事。

そして、目標設定で科学的に根拠があると言えるものが『If Thenルール(条件型目標設定)』

よく「具体的な目標を設定しましょう!」と言うが、具体的な目標ってそもそも何が具体的なの? と思う方も多いと思う。

その答えは条件を決めること。

条件の決め方の大前提として一番大事なポイントは

  • 何をするのか
  • いつやるのか
  • どこでやるか

になる。

 

その具体的方法として、

これは皆さんに具体的に作業してもらった方が理解できると思うので、もしお時間のある方は以下の事を実践しながら、お読み下さい。

 

1.まずはこれから達成したい目標を書いて下さい。

この段階ではまだ具体的にいつ、どこでなどは書かなくてよいので、まずは目標を書く。

 

2.今書いた目標を、具体的に何をするのか?いつ、どこでやるのか?まで決めて下さい。

例えば、先の目標で「英会話の勉強をする」と書いたとします。

英会話の勉強と言っても、具体性が無い。

具体的にする思考の例として、

1年ぐらいで海外に行き、旅行を自然に楽しめる位の英会話のスキルを身に付けたい。

その為には言葉がどれ位使えればよいのだろうか?などと色々考え、結果1年間で800フレーズを覚えよう!と決めた。

そして、1日毎に、英語のセンテンスを少しずつ覚えて行こうと言う目標ができたとする。

それを具体化すると・・・

1日5フレーズずつ、身につける。(これではまだ△である。なぜならいつと場所がないから。)

なので、

英会話のフレーズを5個、朝食前に覚える。

この様な感じで決めた目標が具体的な目標となる。

 

3.それをIf Thenルールにまとめる

If Thenルールとは
もし○○したら○○する、あるいはもし~するときに○○する。
例として、もし子どもが寝た時に本を読む。の様な感じ。

 

先の例をIf Thenルールにまとめると、

『朝食を用意したら、英会話のフレーズを5フレーズずつ覚えてから食べる。』

とこの様な感じになる。

要するに2で具体化した目標を、3でIf Thenに置き換える。

習慣化ではおなじみのIf Thenルールではあるが、目標達成においてもIf Thenルールにすると実現性が高いことが分かっている。

ポイントはそれを頭に完全に残る位まで音読をして頭にいれておくと自然とそれが促される様になる。

 

 

まとめると、本日の話の中で能力を使う場面などは全く無かった様に、達成に必要なのは能力ではなく、努力と忍耐と計画なのである。

そして、目標達成においてイメージするのは、ゴールよりプロセスです。

 

これらの事を踏まえて、目標達成に向かう際に働く、心理を理解し行動につなげれば、 “意志” や “やる気” に頼らず、結果『目標達成率』は飛躍的に高くなります。

ぜひ、みんなでよりよい人生を自分の行動で共に切り開いて行きましょう。

 

 

本日もあなたの時間を投資していただきありがとうございました。

 

 

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