心理学・科学

天才には勝てない!でも凡人がそれに追いつくなら『成長マインドセット』- 後編

本日は昨日の記事の続き、“天才には勝てない!でも凡人がそれに追いつくなら『成長マインドセット』”の後編です。

昨日の記事では、人間には『マインドセット』と言う心的傾向があり、『グロースマインドセット = 成長マインドセット(しなやかなマインドセット)』『フィックストマインドセット = 硬直マインドセット(こちこちのマインドセット)』の2つの『マインドセット』のお話をした。

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それを踏まえ、何か行動を起こすのであれば、なるべく成長マインドセットを意識した考え方が大きな成果や可能性に繋がると言う事は腑に落ちて貰えたと思う。

では、“どうすれば成長マインドセットが身につくのか?”を本日はお伝えして行こうと思います。

 

 

成長マインドセットを身に付ける為の鍛え方

1.才能よりも努力に目を向ける

成果に目を向けるよりも、“何を努力したのか、試したのか? また試して続けているのか?”と言う事に目を向け、“自分が持っている才能を見つける”と言うよりは、“努力をしていったその先に、もしかすると才能は有るかも知れないし、もし無くても構わない”と言う考え方を持つことが大事。

なので基本は“才能を探すのではなく、努力を楽にする方法”を見つけるのだ。

もし、「自分にはこういう能力があるんだ」と言う事を思うとどうなるかと言えば、慢心してさらに怠けるのだ。

そしてさらに、「自分にはこの能力は有るけど、この能力は無い」や「自分はこの才能が無いな」などと思ってしまうと、硬直マインドセットにどんどんと傾いていってしまう。

そうなると、自分の能力や才能が無いと感じると言う事に直面した時の恐怖感が植え付けれてしまう。

それは良くない事なので、どちらかと言えば能力や才能よりも、努力をしたのかどうか・努力を出来るのかどうかに目を向けて行くことが重要だ。

結局、能力や才能だけに目を向けてしまうと、硬直マインドセットが根付いてしまい、失敗が怖くなりチャレンジする事を止めてしまう。

なので「チャレンジしない」「失敗が嫌、怖い」と思っている人は硬直マインドセットに掛かっている可能性が有る。

これは、能力や才能だけに目を向けてしまっているが為に起きている現象なので、自分の努力に対して目を向けよう。

 

そして、実際に人間は能力や才能を褒めるとモチベーションが下がってしまう。

しかも能力なので、決まってしまっていて仕方ないと言う思考になり、粘り強く何かを頑張ろうと言う意識にならない。

実際に学生に行った実験では、「頭いいね!」と知能を褒められた学生は、結果に拘る様になり“カンニング”しやすくなったり、“自分がどれ位頑張ったのか”、“頑張る課程でどれ位工夫したのか”と言う事に目が向かなくなってしまう。

故に粘り強さが無くなるし、新しいやり方で工夫すると言う事が無くなってしまう。

なので、努力に褒められた学生に比べ、勉強の量も少なくなってしまうし、パフォーマンスも落ちてしまう。

そして、能力や才能に目を向けられた人が、テストや何か物事に失敗すると、忍耐力が無くなってしまっているので、「あっ俺はどうせこれをやってもダメだ」と硬直マインドセットに陥り、前に進む事を止めてしまうのだ。

よく、「一回の失敗で挫折する天才」が生まれるのはこう言う事なのである。

 

なので、目を向けるべきなのは、“努力と戦略と選択”に目を向ける事が一番大事なのだ。

これに目を向けると、何か物事で成果が生まれた時に、

「確かに毎日コツコツ続けられる事が出来たな、やっぱり自分が努力したからだな。」

「コツコツ続けられたのは何の戦略が良かったのだろう? あっ歩きながら本を読んだ戦略が良かったんだろうな、頭にも残ったし。あれが効いたな。」

「そう言う戦略にたどり着いたけど、本質的にどんな選択が良かったのだろう? みんなが難しい本を読んで行く中で、まず簡単な漫画の解説本を読んでやる気を上げておいた、あの選択が良かったのだろうな」

と言う様に考えて行くのだ。

こうすると、能力以外に目を向けていると同時に、全部自分でどうにかなるのだ。

努力は頑張れば何とかなる。

戦略は戦略の選び方で成果が変わるので、戦略を考えたかどうかの問題で天才かどうかは関係無い。

選択はAを取ったか、Bを取ったかのチョイスが大事なので、能力は関係無い。

と言う様に能力や才能と関係無い所に目を向けていく事が重要なのだ。

 

因みに何か上手く行かなかった場合も同じで、努力と戦略と選択なのだ。

つまり、

「努力は足りていたのか? あの時ついつい遊びに行ってしまったよな。あれが良くなかったので、あれを踏ん張る方法を考えないとダメだな」と言うように努力を反省する。

「確かにもう少し余裕を持ったスケジュールを組まなかったから、間に合わなくて焦ってしまい、現実逃避してしまったんだな。次からはもう1週間早く始めてみよう」と言う様な戦略を考える。

「冷静に考えたら一番最初に難しい問題集から始めて躓いてしまったんだよな。じゃもう少しレベルを落とした所から余裕を持ってやる気を起こす所からやってみよう」と言う様な選択の振り返り。

をする事で対策を考える事ができるのだ。

ところが、これを自分の能力が低いや才能が無いと思うとどうなるかと言えば、全部能力や才能のせいにしてしまうので、どう直せば良いのか解らなくなってしまう。

なので、成功した場合でも、しなかった場合でも、“努力と戦略と選択”を振り返る事はとても重要なのだ。

 

2.とは言え、努力したからOKなのではない

とは言っても結果をあまり無視するしすぎるのは良くない。

結果が悪くても努力をしたからオッケーではなく、結果に結びついた努力を探すことが大事だ。

例えば会社などで、『あの神社にお参りに行くと業績が上がるから、社員総出でお参りに行こう』

などと、科学的根拠が全くない行動をとる経営者の方がいるが、これは結果と努力が結びつけられていないのである。

つまり因果関係が全く分かっていないのだ。

そうではなく、良い結果が出た場合は『どの努力がうまくいったのか?』『どの戦略がうまくいったのか?』『どの選択が良かった?』、逆に失敗した場合は“どんなところで努力が出来なかったのか”、“どんな戦略が失敗したのか”、そして根底には“何の選択が間違っていたのか“と言う事を冷静に分析することが大事になる。

結果が出た場合でも、出なかった場合でも、どんな努力が結びついたのかを考える癖をつける。

結果と努力を正しく結びつけると言う分析が重要だ。

つまり、『結果では無く、努力が大事』と言うのは言い過ぎで大事な事は、正しい努力・結果に繋がる努力を見極め、細かく考え、分析していき、自分なりに成長マインドセットが働いていく様にする事が大事だ。

そして、目標は常に達成可能な物でなければならないし、ゴールまでのステップ(戦略)も明確に決めないと、たどり付けなくなってしまう。

なので無駄な努力は無いとは思うが、がむしゃらに努力するよりかは、より成果を上げる、より成果に結びつく正しい努力をする為の方法は何なのか?を考えると良いのだ。

 

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3.全ての努力が報われる訳では無いことも受け入れる

これを言うと努力至上主義の様になってしまい、“努力すれば絶対に上手くいく”、逆に言うと、“上手くいかなかったのは努力が出来ていなかったせいだ”となると、これもおかしな話だ。

努力をしても全部が報われる訳ではないと言う事は、もちろん考えておくべきだ。

なので、失敗した時は全部自分のせいだと思うのではなく、もちろん努力でどうにか出来る事も有るが、どうにも出来ない外的要因も有るのだ。

つまり、『何処までが自分の努力で出来るのか?』『何処までが出来ないのか?』、それを2つに分けて『努力で出来る様にする為にはどんな戦略と選択が必要なのか?』

自分の力でどうにもならない時は、『どんな戦略と選択をする事により、多少なりとも被害を抑える事が出来るのか?』を考える必要がある。

なので、具体的にどうすれば良いかと言えば、もし失敗してもその失敗から学べば良い。

失敗をポジティブに捉え、間違いを次の学習するチャンスに結びつけていけばいい。

 

学びと言えば、よく学びの指標を時間で計る人がいるが、実は時間差は余り関係無い。

昔流行った物に『10,000時間の法則』と言う物が有るが、練習するだけで天才になれるかと言えば、かなり怪しいと言う事が解っている。

10,000時間練習しても、天才じゃない人は天才にはなれないのだ。

その場合どうすればいいかと言うと、先ほどの戦略と選択である。

戦略を練って、正しい選択をして、長期的に効果の有る戦略に従った行動する事により、大きな成果を得る事が出来る。

なので、時間に固執して練習するのでは無く、どちらかと言えば、自分の戦略とその根底にある選択が合っているのか?と言う事を常に考える事が大事だ。

これはプリンストン大学の2014年の研究でも出ている。

このメタ分析によると、ゲーム、音楽、勉強、弁護士等の専門知識の分野で、天才と言われる様なレベルになる為に、“練習はどれぐらい重要なのか”を調べたのだが、実は専門的知識の分野に関してはほとんど練習量の重要さは無かった。

練習量の重要さで1番良かったのはゲームだ。

ゲームの場合は、練習をすればするほど結果は上がって行く。

練習の重要さの具体的な数値が

ゲームの場合は26%

音楽の場合は21%

勉強の場合はわずか4%

専門職の場合は、なんとたった1%

なのである。

なのでどちらかと言うと“どう練習を続けるのか”、“どう努力を続けるのか”、“どこの部分を選択して、集中して努力するのか”と言う事がとても重要なのである。

 

つまり、特定の物事において天才的な才能を持っているにも関わらず、上手く行かない天才は沢山いる。

なぜかと言えば選択、戦略が無いのだ。

天才で真面目であるが故に、頑張れば何とかなると思い頑張り続けるのだ。

だが、現実問題それは違うのだ。

“東京”に行こうと思い新幹線に乗るとする。

誰よりも早く“東京”に行こうと思い、誰よりも早い時間に“新大阪駅”に着いて、誰よりも早く“東京”に向かったとしても、九州新幹線に乗ってしまえば“博多”に着いてしまうのだ。

誰よりも早く“博多”に着くのだ。

つまり、誰よりも早く“間違った方向”に向かって、“間違った目的地”に着くだけだ。

すると結局、“新大阪駅”に戻ったり、“違う回り道”をしないとダメなのだ。

だから、選択・戦略は凄く大事な事なのだ。

 

4.進んでいる!と言う感覚を持つことの大事さ

そして、もうひとつ大事なのは、進んでいる感覚を持つことがすごく大事だ。

人間は先が見えない物や結果が出ていない物に関して、モチベーションを下げやすい。

その為、嘘でも良いので間違いなく進んでいると思えるような、指標を持つ事が大事になる。

実際に、嘘でもいいから指標を作るとモチベーションが上がると言う研究がある。

 

では、実際にどの様な指標を持つと良いのか?

答えは『工夫』である。

今年は、今月は、今週は、今日は、どんな工夫をしたか?と言う事を考え、その工夫を数えるのだ。

工夫をした結果、良くなろうが悪くなろうが、工夫の回数は増える。

そして工夫の回数が増えれば、成果の上がったり下がったりはあるものの、最終的な結果としては試行回数が増えいるので成果は上がるのである。

結果につながる努力で、かつ積み重なっていくもので、カウントしやすいものを探すと工夫の数が大事になる。

なので、工夫の数を数えて行き、沢山工夫すれば、ゴールに近づいている様な感じがする。

例えば、大体新しい成果が出るまで、560回位工夫すると大きな成果が出ると言う指標を持っていたとする。

自分でカウントを進めて行き、今200回工夫したから、約半分ぐらい来たなと分かる。

そして、この倍程度の工夫をすると、より大きな転換点が来るだろうな、と言うように考えられるのである。

これは期間などでもいい。

例えば3年位で大きな成果が出ると言う指標を持っていたとすれば、更にもう3年すれば、より大きな成果が出るのではないかな?と言うように考えるのが大事だ。

そして、この様に考えていくと、“後もう少しで来るな!”と言うのが分かる。そうすると進んでる感じがする。

するとモチベーションを下げる事なく、チャレンジし続けられるのだ。

 

実際には進んでいるように見えて、回り道してる可能性もある。

だが、人間は“進んでいる”と感じないと前には進めないのだ。

 

脳を成長モードに入れておく

多くの人は、常に成長マインドセットになる人は少ない。

要するに、成長マインドセットと硬直マインドセットを使い分けているのだ。

例えば、“ビジネスは得意”だけど“運動は苦手”と言う様に、成長マインドセットと硬直マインドセットのゾーンが別れていたりする。

だが、これからの時代は自分の能力を分けたり、専門分野を分けたり、業界を分けたりする必要性は無い。

例えば、プログラムが得意だけど、デザインは苦手。

などと言う人がいるが、これから先はこの垣根を越えたビジネスや知識を持っていないと成功しない。

そうなると、成長マインドセットと硬直マインドセットを使い回分けるより、常に脳を成長マインドセットに切り替えておく事がとても重要になる。

 

では、これをどうすればいいのか?

ドゥエック教授によると、『常に自分の脳を成長マインドセットに入れておくような癖を付けるしかない』と言っている。

そしてこの癖の付け方をドゥエック教授によると、『今日は何を勉強したいか』『今日は人にどんなことを教えたいか』『他人にどういう影響与えたいのか』と言う事を考えたり、自分が今やろうとしている事は『成長なの?』『硬直なの?』と自分に問いかける事がすごく重要だと言っている。

だが実際これはややこしい。

 

なのでどのようにするのが良いか?

『楽を求める』のである。

そうだ楽は求めていいのだ。

みんな収入は落としたくないので、成果はそのままで、楽を求めればいいのだ。

そう、人間が進化してきた本質とも言うべき、楽を求めるならば、『成果はそのまま、もしくはさらなる成果を出して、楽を求めるにはどうすればいいのか?』と言う事を考えるようになる。

「どんな新しいことをしようか?」「今、何を学べば将来大きな成果が手に入るだろうか?」「今、自分が考えている事、やろうとしている事は、今までと同じ事では無いだろうか?」「今までと同じ事をしていては、今までと同じ様な成果しか出ないし、同じくらい面倒臭い。」

ではここから先どの様に工夫していけば、もっと成果が上がり、もっと楽になるのか? つまり楽して成果を上げる方法を求めるのが凄く大事になって来るのだ。

そうすると、どう頑張っても成長するしかないのだ。

楽をして、成果を出すには成長するしかないのだ。筋トレと同じだ。

50キロのバーベルを上げるのがきつい人が、筋肉を付けず、同じ様にバーベルを上げることをずっとしていてもきついままなのだ。

では、どうすればこのバーベルを上げることが出来るか、そう筋肉を鍛えるしかないのだ。

これと全く同じで、楽をして成果をあげるには自分が成長するしかない。

なので短時間で良い戦略を考え、良い選択をして、最低限のノルマとしてはほんの少しの成長をしていく。

少し成長すると楽になるのだ。

こうなると味を占め、もっと“楽”を自ら考え求めるようになる。

そうすると自分自身がもっと成長する。

このような思考のスパイラルを持つと、自然と成長マインドセットに自分を常に入れておくことだ出来る様になるのだ。

 

僕たちは自らの『成長マインドセット』を働かせる事により、もっともっと成長出来ると共に、この努力の差が将来に大きな差を生む源泉となる『努力の天才』になることが出来るのだ。

 

 

本日もあなたの時間を投資していただきありがとうございました。

 

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