クレジットカードの最大のメリットは何と言っても買い物の利便性の向上だ。
1回払いであれば、現金と同じ金額を支払うのにポイントが加算されるメリットもある。
だが、読者の皆さんも翌月の請求書を見て「おっと!」となる事がないですか?
このブログのサブタイトルである、「リボ払いから始まった1,000万円の借金」もリボ払いを安易に利用し膨れ上がった負債額だ。
今回は現金払いとカード払いに起こる心理的変化を、アメリカで行われた研究結果を踏まえながらご紹介します。
意思決定の緩みによる衝動買い

アメリカで1,000世帯以上を対象に食料品の買い物を6ヶ月間追跡する研究が行われた。
その結果、カードを使う時と現金で払う時では、カードの方が衝動買いしやすくなる事が分かった。
つまり、現金の場合は物を厳選し、健康にも良いものを買うのだが、カードの場合は意思決定が緩くなり、買わなくてよいものや、お菓子、健康的でないものなどを衝動買いで買ってしまっていたのだ。
食料品のレベルでさえ、カードで払う場合は意思決定が緩くなるのである。
実際にカード決済でショッピングをすると、普段は買わない物でも買ってしまったり、よく「ポチった」って言葉を耳にする様に、衝動をしてしまう事がある。
そして自分が、今月いくら使っているのか、いくら払ったのか、また購入した商品その物に対して、いくら払ったのかと言うことを直ぐに忘れてしまうと言う弊害が確認されている。
現金で払い場合は、支払い対象の商品の値段がいくらだったのか分からないや忘れてしまったと言う事は極めて少ない。
だが、カード払いの場合はこの事が往々にしてこの事が起ってしまう事がある。
つまりカードの方が価格に対する認識が甘くなり、さらにお金を払いやすくなるのである。
少し話がそれるが、現金にはお金を使うのが嫌になる、つまり節約や貯金に繋がる面白い文献がある。
節約にも繋がる人間の愛着
例えば、お祝いなどを渡す際に、商品券と現金ではどちらがいいのとか迷う事がある。
心理学的には断言できる。現金である。
もちろん、現金で貰った方が貯金などの色々な要素で扱いやすいと言う事もあるが、もう一つ面白い理由がある。
人間はお金の物理的な形状に愛着を示すのだ。
さらにある研究で、お札が財布の中にどれぐらいの期間、滞在しているのかを調べた研究がある。
その結果では面白いことに、古いお札の方が新札よりも財布での滞在期間が少ない事が分かっている。
つまり、ぼろぼろのお札やピン札でないお札で渡すと、相手はそのお金を使いやすくなると言う事が分かったのだ。
と言う事は、ピン札で渡すと、お金の形状に愛着がある上に、綺麗なピン札はなるべく使いたく無くなる心理が働き、結果節約にも繋がるのだ。
ピン札の一万円札が崩れて千円札などに変わると、何となく「あぁ」となる感覚を感じた事って無いですか?
その理由はつまり、このような心理効果が働いているのだ。

また、この原理を利用しているのが、海外で見かけるカジノ。
カジノは現金をチップに変えてプレイする。
しかも高額になれば丸いコインみたいな形をしたチップではなく、四角いプレートのチップに変わる所が多い。
どんどんお金っぽく無いものに変えて行くと、そもそも現金では無いので意思決定が緩い上に、形状に愛着が無いのでベットしやすくなりやすい。
カジノではトランプやマットは新品や綺麗な物を使うのに、チップだけはボロボロの物がある。
なぜかといえば、その方がみんなが使ってくれやすくなるからである。
このような心理を利用してカジノは多額のお金を回している。
スポンサーリンク
許容価格は倍以上!

話をクレジットカードに戻すが、さらにカード払いで何が一番危ないのかといえば、同じ買い物をする場合でも、より高いお金を出してもよいと思ってしまう事。
同じくアメリカでこの様な実験が行われた。
普段はすぐに売り切れて、なかなか手に入らないバスケットボールの試合のチケットを、サイレント形式のオークション(どれ位の人数がいくらで入札しているのか分からない状態)販売を行った。
その際に被験者を現金払いで入札するグループとカード払いで入札するグループに分けた。
そして、双方の平均入札額がいくらであったかを調べると驚くべき違いが出たのだ。
結果は、現金払いの入札グループの平均入札額は28ドルだった。
しかし、カード払いができるグループの平均入札額は60ドルになったのだ。そう2倍以上である。
つまりクレジットカードで支払いを行う場合は、同じ物にもより高額を出してもよいと思う心理が働いてしまうのだ。
この様な結果を踏まえた上で、実際クレジットカードの普及でどれ位みんながお金の意思決定が緩くなったのか?
実は、イギリスの研究でクレジットカードが普及した1990年から2013年迄に、どれ位の個人債務(個人の借金、リボ払い等含む)が増えたかと言う研究が行わた。
そして、その結果は何と、個人の債務は3倍に膨れあがった。
縁あってこの記事をお読みいただいた皆さんには、ぜひお金のバイアスに左右されない意思決定をしていただければと思います。
本日もあなたの時間を投資していただきありがとうございました。