心理学・科学

天才には勝てない!でも凡人がそれに追いつくなら『成長マインドセット』- 前編

皆さんは『天才と戦って勝てますか?』

結果から先に言えば、基本的には『無理』だ。

昔から『努力は天才に勝る』と言う言葉があるが、基本的には『無理』なのである。

だが、これで終わってしまっては元も子もない。

心理学の世界では、人間には『マインドセット』と言う心的傾向がある。

※マインドセットとは、経験・教育・先入観から形成される、心理状態や思考パターンのことを言います。例えば、思い込みや価値観・信念がこれに該当する。また、思い込みのことを「パラダイム」とも言い、新たな情報や経験によって自身の思い込みに気づき、思い込みが変化することを「パラダイムシフト」と言います。

そして、人間のマインドセットには『グロースマインドセット = 成長マインドセット(しなやかなマインドセット)』『フィックストマインドセット = 硬直マインドセット(こちこちのマインドセット)』2つのマインドセットの考え方があるのだ。

 

話の内容が少し長くなるため、集中力を維持して記事を読んでいただく為にも、僕たち人間が常に進歩しつづけるのに重要な役割を果たす思考、『成長マインド』について2回に渡りお伝え出来ればと思います。

 

 

成長マインドセット

グロースマインドセット(成長マインドセット)を提唱したのはキャロル・ドゥエック教授という、社会心理学、発達心理学を専門とするスタンフォード大学の心理学教授だ。

彼女の有名な著書には、「Mindset」(邦題「『やればできる!』の研究」)や「Self-theories」があります。

スタンフォード大学発の世界的ベストセラー! ! 学業・ビジネス・スポーツ・恋愛・人間関係……、成功と失敗、勝ち負けは、『マインドセット』で決まる。 発売日:2016/1/15 出版社草思社

 

『成長マインドセット』とは
簡単に言えば、人間は努力や自分の意思で人生を変えていけるし、考え方を変えていけると言う考え方。

『硬直マインドセット』とは
簡単に言えば、人間の才能は生まれつき決まっていて、後から変えられない性格や能力と言う考え方。

マインドセットの研究は結構進んでいて、『成長マインドセット』の考え方に自分を変えていけば、生まれつきの天才にはなれなくても、それに匹敵するような力に自分を伸ばしていく事が出来る事が研究で証明されている。

つまり、この『成長マインドセット』はいわゆる『努力の天才』と言われる人たちが持っている性質なのだ。

このマインドセットの考え方はとても重要で、人間はどんどん変わって行くと言うようなしなやかな脳を持つ。

例えば、よく周りから『やれば出来ると信じろ』と言われた経験があると思う。

そしてそれを言われる度に、『いや、とは言うものの』などと思った経験はないですか?。

しかし、このマインドセットの考え方を身につけると、“人間の脳は人間は後から変えられるんだ。”

それにより、成績も上がるし、生き方や人生も大きく変わって行くと言う事が腑に落ちるのではないかと思う。

 

人間の脳の可能性

人間の脳に関して少し前まで言われていた事に、『脳細胞は生まれた瞬間が最も多くて、そこからどんどん減っていく』と言われていた。

だがニューロプラスティシティ(神経可塑性)によって、脳の変化は一生続く、使えば使うほど脳の特定の機能を司る領域が増えたり大きくなる事が最近の研究で分かって来ている。

例えば、ロンドンのタクシードライバーを対象にした研究だ。

タクシードライバーの経験年数が長ければ長い程、当然の事ながら年齢は重ねているにも関わらず、空間認識をする働きを司っている脳の部位がどんどん大きくなった。

それを考えると、人間の脳にはまだまだ可能性があり、考え方次第では僕たちはいくらでも成長できる。

 

成長マインドセットが差を生む

昔から言われたやり方ではマインドセットは自分でトレーニングするのは難しいと言われていた。

だが、2018年にスタンフォード大学が行った研究を参照すると、どうやら1時間足らず50分程度の介入でマインドセットは変わる事ができる事が解った。

要するに、マインドセットは長期的トレーニングやセラピー受けて変えなくても、意外と短時間で変わって行くと言う研究が出ているので、今日の記事においても、少しでも皆さんのマインドセットが変化してくれると良いなと思う。

話を戻して、スタンフォードの研究チームが14歳~15歳の学生、1万2540人集め全体を2つのグループに分けた。

片方のグループにはマインドセット(ニューロプラスティシティ)を解説する25分の同じ内容の動画を2回見せる。

この時、1回目と2回目の動画の間隔は20日間位空け、時間を少しおいて同じ動画を見せた。

もう片方のグループには脳の構造について解説した25分の同じ内容の動画を2回見せた。

そしてどのような違いが出るかを調べた。

結果何が起きたか。

マインドセット動画を見せたグループは、マインドセットの動画を見ていないグループよりも平均で0.03ポイント成績が上がった。

さらに『マインドセットを自分で変えよう!』『成長マインドセットを変わるんだ!』と意図的に頑張った生徒は0.08ポイント、つまり普通にマインドセットの動画を見た生徒よりも3倍近く成績が上がった。

そして、さらにマインドセットの動画を見たグループは赤点を取る確率が、他のグループに比べて3%低くなった。

ただ、これだけを聞くとあまり変わってないと思ってしまう。

だが、実は結構な差である。

なぜならば、たった50分程度の介入、わずか20日間足らずでこれだけの差が生まれたのだ。

これを続けていくと結構な差が生まれる。

そしてもう一つ、人間は若い時はあまり差が出ないが、人生を積み重ねて行くと勉強する人・しない人、物事から学ぶ人・学ばない人などの違いにより、大きな差が生まれ、最終的にはそれが収入や生活の差になる。

つまり、積み重ねたものの差が、年齢の後半になってくるとどんどん大きくなってくる。

これは何がその違いを作ったのかと言えば、この様な成長マインドセットを持っているかどうかで、大きな差が出てくるのだ。

要するに短期間では大きな差が生まれないかもしれないが、積み重なってくると大きな大きな差となってくるので、成長マインドセットを持つことはとても重要だ。

飽きっぽい人こそ、成長マインドセットで工夫と効率的な成果。

特に飽きっぽい人は成長マインドセットを持つことがすごく重要だ。

なぜかと言えば、飽きると言う事は次に進むしかないのだ。

しかも履きやすい人は、面倒くさがりな人も多い。

面倒臭がりな人が、何かをしようとするには、いかに手間を減らすかと言うことが大切だ。

つまり、次のことに挑戦して飽きないモチベーションを作りながらも、手間を減らしつつも同じ成果を保たなければいけない。

なので、飽きっぽい人や面倒臭がりな人はその気質を生かし、成長マインドセットに繋げれば大きな成果に繋がる可能性があるのだ。

 

人生が“イージーモード”になる

成長マインドセットを持ってる人は人生がイージーモードになるという事が、キャロル・ドゥエック教授の研究で出ている。

“チャレンジする事は大変” や “努力するのは大変”と思う人もいると思う。

だが、それは『成長マインドセット』が働いて無いからで、成長マインドセットが働くと自然と勝手に努力できる。

周りから見ると、「そんなに努力して、そんなにチャレンジして辛くないの?」と感じる様な事でも、成長マインドセットを持つ人は、そんな事は考えずに自然にやっているのだ。

なぜかと言えば、自分の人生は自分で変えられる、自分が努力することによって物事が変わっていくと言う事が解っていると、努力の辛さではなく、これをやれば一体どんなことが起きるんだと楽しみになる。

故に自分の努力により、それ以上の変化が起こる事がとても楽しいと思う様になるのだ。

 

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ほとんどの人が物事は変えられないと思ってる硬直マインドセットと、自分の努力で変えられると思うしなやかなマインドセットの2つを持っている。

つまり、どちらか一方のマインドセットを持つと言う様な二元論ではない。

努力がしんどいと感じる人は、大体自分の能力は変えられないと思っていて、変えられない自分の能力なのに自分の能力より上のことをしないといけない、「うわーしんどい、これをやるのにすごい時間がかかってしまう。辛いな。。。」と硬直マインドセットになってしまっている。

これを、成長マインドセットを持ってる人は、「今の自分では確かに厳しいがこれを超えれば、自分はもっと成長していけるんだ、そうすればもっと大きなことができる、もっとお金が稼げる」と言うように、常に上を予測していくというのが成長マインドセットである。

実は硬直マインドセットの根底にあるのは不安なのだ。

硬直マインドセットを持つと何が起きるかと言えば、自分には才能も無いし得意な事が何も無いと言う様に思い込んでしまう。

こうなると、他の人に自分はどう見えるか?などと不安を抱えてしまう。

その思い込みのせいで、かえって能力も挑戦能力も下がってしまう。

逆に成長マインドセットを持っている人達は、自分の能力や才能は人の助けを借りたり、努力をしたり、本などで学んだり、また、自分が出す結果と言うのは、ただ単に能力や運だけではなく、細かなテクニックやシステムを工夫したりすることにより、大きく成果は伸ばせると言うことを信じている。

その為、何でも試してみようとする。

そして試すことが楽しいから、どんどんチャレンジをしていき、困難があってもそれを分解して、ブレイクダウンして、色々試して突破口を見いだし成長して行く。

もしチャレンジに失敗しても、成長マインドセットを持つ人は自分をダメだとは思わない。

だが、硬直マインドセットを持ってる人が、失敗するとどうなるかと言えば、「あーやっぱりダメだった。自分はダメだ」と言う様に思うのだ。

成長マインドセットを持ってる人は「これがうまくいかなかった言う事は何が原因なんだ?」「だったらこっちのやり方はどうだ? あるいはこれはどうだ?」と“試すと言う事に味を占める”

その結果、失敗を恐れなくなり、失敗を恐れなくなるとより試す様になり、次から次へと“トライ&エラー”を行う。

そして、試す回数が増えるので、結果的には成功を掴み易くなり、『夢中になって色々試していたら成功しちゃった』となるので人生が“イージーモード”に見えるのだ。

 

明日は実際に“では、どうすれば成長マインドセットが身につくのか?”をお伝えしていこうと思います。

 

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本日もあなたの時間を投資していただきありがとうございました。

 

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